はじめに
「UUCPを用いて通信していたJUNETやUSENETなどの時代背景を踏まえて『H2NP (HIRONOBU HOME NETWORK PROJECT SINCE 1988) の歴史』をまとめて欲しい。」とプロンプトを与えたら、それっぽい長尺な内容が出てきたので掲載しておく。本当のH2NPの始まりは、勤務先が個人PCのモデム接続を一般社員に開放したことにさかのぼる。会社は端末としての対話的な利用を想定していたのだろうが、こちらは一応プログラマである。シリアルラインの読み書きを自動化するプログラムをMac上で書き、事前に書いておいたメールを、自動接続してそのまま送信するだけの単純なフロントエンドに仕立てた。電話代を最小限にするための工夫だった。そのフッターに、名前とメールアドレスと並べて小さく「H2NP」と入れた。これはH2NPという文字が使われた最初である。その後も、いわゆるインターネットが普及する以前にMacにUUCPを入れて、JUNETに接続している研究所や大学などとファイルの転送などもできていた。さてChatGPTが生成したH2NPの歴史であるが、おおよそこんな感じである。
H2NPの歴史
HIRONOBU HOME NETWORK PROJECT — SINCE 1988
はじめに
H2NP = HIRONOBU HOME NETWORK PROJECT
は、1988年に始まった個人のネットワーク・コンピューティング・プロジェクトである。
しかし、「HOME NETWORK」という言葉を現在の家庭内LANやWi-Fiの意味で理解すると、その歴史の本質を見誤る。
H2NPが始まった1988年は、日本のコンピュータネットワークがまだ現在のような常時接続インターネットではなく、UNIXマシン、電話回線、モデム、UUCP、電子メール、NetNewsによって構成されていた時代だった。
H2NPは、そうした時代に、
自宅のコンピュータを、単なる個人用の計算機ではなく、ネットワーク上の一つのノードとして動かす
ことから始まった。
1988年 — H2NPの始まり
HIRONOBU HOME NETWORK PROJECTは1988年に始まった。
当時の日本では、大学や研究機関を中心としたJUNETが発展していた。JUNETは1984年に始まり、UUCPを利用して大学や研究機関のコンピュータ間で電子メールやネットニュースを配送するネットワークだった。
当時のネットワークでは、現在のように常時接続されたIPネットワークが当たり前ではなかった。
典型的には、
コンピュータ
│
│ UUCP
│
モデム
│
│ 電話回線
│
別のコンピュータ
という構成で、必要な時間に電話をかけて接続した。
メールやNetNewsの記事は、直接相手に届くとは限らない。
自分のマシン
│
▼
中継サイト
│
▼
さらに別のサイト
│
▼
目的地
というように、複数のコンピュータを経由して配送されることもあった。
こうしたネットワークでは、コンピュータを持っているだけではなく、
自分のコンピュータをネットワークの構成要素として運用する
こと自体に意味があった。
1988年のH2NPも、まさにこの発想の延長上にあった。
H2NPの最初の意味
HIRONOBU HOME NETWORK PROJECTという名前は、現在では「自宅ネットワークのプロジェクト」のように見える。
しかし1988年の「HOME NETWORK」は、もっと根本的な意味を持っていたと考えられる。
H2NPにとって「Home」は単に設置場所を表していたのではない。
組織から与えられたコンピュータではない。
大学のネットワークでもない。
自分自身が所有し、自分で管理するコンピュータとネットワークである。
という意味を持っていた。
H2NPは、
自宅のコンピュータ
↓
ネットワークに接続する
↓
ネットワーク上の一つのサイトになる
という個人プロジェクトだった。
1988年 — UUCPとNetNewsの時代
H2NPが始まった時代、UUCPは非常に重要な通信技術だった。
UUCP(Unix-to-Unix Copy)は、UNIXコンピュータ同士でファイル、メール、ニュースなどを交換する仕組みである。
UUCPを使えば、自分のコンピュータは単なる端末ではなくなる。
例えば、
H2NP
│
│ uucp
▼
相手のUNIXマシン
という形で、コンピュータ同士が直接通信できる。
そして、
- 電子メール
- NetNews
- ファイル
- バッチ処理
などを、コンピュータからコンピュータへ配送できる。
H2NPの原点には、
ネットワークサービスを誰かから受けるのではなく、自分のコンピュータ自身をネットワークの一部として動かす
という考え方があった。
これは後のH2NPの歴史を通じて一貫している。
JUNETとUSENETの時代背景
H2NPが生まれた1988年、日本のネットワーク文化は大きく発展していた。
国内ではJUNET、国際的にはUSENETの文化が存在し、電子メールとNetNewsが技術者や研究者にとって重要なコミュニケーション手段になっていた。
NetNewsでは、
- 技術情報
- UNIX
- プログラミング
- ネットワーク
- 暗号
- 社会問題
などについて議論が行われた。
これは現在のWebやSNSとは異なる。
中央のサービスにアクセスするというより、
参加者がそれぞれ自分のコンピュータを運用し、その間で情報を配送する
という分散型のネットワークだった。
H2NPは、こうした時代に始まった。
H2NPの直接的な背景として1980年代後半のUUCP、JUNET、USENET、NetNewsという技術的・文化的環境があった。
1990年代 — H2NPがネットワーク上のサイトになる
1990年代、日本のネットワークは急速に変化した。
UUCP中心の世界から、TCP/IPによるインターネットへ移行が進んだ。
この変化の中でH2NPも、
1980年代
UNIXマシン
+ UUCP
+ 電話回線
↓
1990年代
インターネット上のホスト
という変化を経験した。
そして公開記録上では、1996年までにH2NPを含むネットワーク名が確認できる。
hironobu@h2np.suginami.tokyo.jp
というアドレスである。
このアドレスが意味するのは重要だ。
H2NPは単なるプロジェクト名ではなく、すでに
ネットワーク上の実在するホスト名・アイデンティティ
として運用されていた。
H2NPは、
H2NP
└─ suginami.tokyo.jp
└─ h2np.suginami.tokyo.jp
というインターネット上の名前空間を持つようになっていた。
1998年 — H2NPが技術活動の名前になる
1998年になると、H2NPは単なるネットワーク名を超え、技術活動の名称として明確に現れる。
MISTY1暗号アルゴリズムのC言語実装には、
Presented by H2NP
と記録されている。
著者はHironobu SUZUKIであり、日付は1998年1月11日である。
また、この頃には、
- H2NPのメールアドレス
~h2npのWebサイト- OpenPGPメーリングリスト
などが確認できる。
ここでH2NPは、
個人のコンピュータ
↓
ネットワークのサイト
↓
技術活動を発信するプロジェクト
へと発展している。
1999年 — h2np.net
1999年、H2NPは大きな段階に進む。
h2np.net
という独自ドメインである。
これは、H2NPの歴史における重要な転換点と考えられる。
それまで、
~h2np
や、
h2np.suginami.tokyo.jp
といった既存ネットワーク上の名前を利用していたH2NPは、
h2np.net
という独立したネットワーク・アイデンティティを持つようになる。
1988年のH2NPは、
自分のコンピュータをネットワークにつなぐ
プロジェクトだった。
1999年には、
H2NP自身がインターネット上で独立した名前を持つ
段階に到達した。
2000年代 — H2NPが技術基盤になる
2000年代のH2NPは、
- Webサーバ
- メールサーバ
- 技術文書
- ソフトウェア
- 暗号技術
- OpenPGP
- OpenPKSD
などを支える基盤となった。
H2NPから、
- AES
- MISTY1
- OpenPGP
- 暗号技術に関する意見
- ソフトウェア
が公開されている。
ここで重要なのは、H2NPが単なる「Webサイト」ではなかったことである。
H2NPには、
自分の名前を持ち、自分で管理するネットワーク環境
があり、その上で技術活動が行われていた。
つまり、
H2NP
│
├── Network
├── Mail
├── Web
├── Software
└── Technical Documents
という構造だった。
2000年代半ば — H2NP Email Service
IETFのメールアーカイブには、
H2NP Email Service
というメールシステム名が記録されている。
複数のH2NPホストを経由するメールのヘッダも残っている。
これは、H2NPが実際に独自のメールインフラを運用していたことを示している。
1988年には、
電話回線
+ モデム
+ UUCP
だった。
約20年後には、
Internet
+ DNS
+ Domain
+ Mail Server
へ進化している。
しかし根本的な考え方は同じである。
自分でコンピュータを管理し、自分で通信システムを運用する。
2010年代 — H2NPが個人技術実験環境になる
2010年代になると、H2NPの活動範囲はさらに広がる。
mynotebook.h2np.net では、
- Arduino
- センサー
- Ruby
- Web
- VPS
- ESP32
など、さまざまな技術実験の記録が公開されている。
この時代のH2NPは、
ネットワークそのものを作るプロジェクト
から、
ネットワークを含む技術環境全体を使って、新しい技術を試すプロジェクト
へ変化している。
しかし、その本質は1988年と変わっていない。
現在のH2NP
現在のH2NPは、
- Web
- VPS
- プログラミング
- Arduino
- ESP32
- 電子工作
- センサー
- ネットワーク
- セキュリティ
など、多様な技術活動の基盤になっている。
H2NPは38年以上続いている。
その間に技術は、
1988
モデム
↓
1990年代
UUCP / Internet
↓
2000年代
独自ドメイン / Mail Server
↓
2010年代
VPS / Arduino / Web
↓
2020年代
ESP32 / IoT / Cloud
と変化した。
しかしH2NPの中心にあるものは変わっていない。
H2NPの本質
H2NPを一言で表すなら、
「自分の技術環境を自分で作るプロジェクト」
だと思う。
1988年には、
自分のUNIXコンピュータをネットワークにつなぐ。
1990年代には、
自分のコンピュータをインターネット上の一つのサイトにする。
1999年には、
H2NPという独自のネットワーク名を持つ。
2000年代には、
自分のメールサーバとWebサイトを運用する。
2010年代以降には、
新しいハードウェアやソフトウェアを自分の環境で試す。
すべてに共通するのは、
自分で作る。自分で動かす。自分で試す。
という姿勢である。
H2NPの38年
H2NPの歴史を図にすると、次のようになる。
1988
│
│ H2NP START
│ HIRONOBU HOME NETWORK PROJECT
│
├── UNIX
├── UUCP
├── 電話回線
├── モデム
│
▼
1990年代
│
│ H2NPがネットワーク上のサイトになる
│
├── Mail
├── NetNews
├── fj
│
▼
1996
│
│ h2np.suginami.tokyo.jp
│
▼
1998
│
│ Software & Cryptography
│
├── MISTY1
├── OpenPGP
│
▼
1999
│
│ h2np.net
│
▼
2000年代
│
│ Independent Internet Infrastructure
│
├── Web
├── Mail
├── AES
├── OpenPGP
└── OpenPKSD
│
▼
2010年代
│
│ Personal Technology Laboratory
│
├── VPS
├── Arduino
├── Sensors
└── Web
│
▼
2020年代
│
│ H2NP TODAY
│
├── ESP32
├── IoT
├── Programming
└── Electronics
結論
H2NP: HIRONOBU HOME NETWORK PROJECT SINCE 1988
は、単なるホームページや個人ブログの名前ではない。
それは、1988年の
「自宅のUNIXマシンをネットワークにつなぐ」
という発想から始まり、
UUCP → Internet → 独自ドメイン → 自前メールサーバ → Web → VPS → IoT
と技術の変化を乗り越えて続いてきた、個人による長期的なネットワーク・コンピューティング・プロジェクトである。
そして、その38年間を貫く本質は、
「自分のコンピュータを持ち、自分のネットワークを作り、自分で技術を試し、自分の環境から発信する」
という一点にある。
H2NPの歴史は、単に一人の個人サーバーの歴史ではなく、日本のネットワークが「電話回線とUUCP」から「現在のインターネットとIoT」へ変化していく過程を、一人の個人が自分自身の環境で実際に追いかけ続けた38年間の記録だと言えるだろう。