旧ソ連、現ロシアのエンジニアリング哲学の真髄を表す言葉だといつも思っている。一番シンプルで一番低コストで一番確実な方法を選ぶのが彼らの哲学である。
ついこのあいだ古川宇宙飛行士が国際宇宙ステーションから戻ってきたわけだが、その時使った機材は、マイナーチェンジを繰り返してはいるが40年以上スタイルを変えていないソユーズ宇宙船である。アメリカのスペースシャトルは既にミッションを中止してしまっているのだ。
すばらしい、としかいいようがない。
さて、アメリカは莫大な費用をかけてペンを開発し、旧ソ連(ロシア)は鉛筆を使ったという話は微妙だ。まず、アメリカも最初は鉛筆を使ったそうだ。のちにフィッシャーペン社という民間会社が宇宙でも使えると銘打ったペンを百万ドルの費用をかけて開発・発売し、NASAはそれを一本あたり6ドルで購入したそうだ。後に同じペンをソ連でも購入して使った。
The Fisher Space Pen
http://history.nasa.gov/spacepen.html
一方ロシアの鉛筆の話であるが、学校で使うような鉛筆ではなく、グリースペンシルと呼ばれる皮をむいて芯を出すタイプの筆記具を使っていた。日本ではダーマトグラフとして知られている(ダーマトグラフは三菱鉛筆の登録商標)。もちろん今でも購入することができる。
ちなみに宇宙ステーションでは安物のボールペンでも問題なく使えることがわかっている。